アイコ
-
パパ、ちょっとこれ見て。
パパの勤めている会社もこの中に入ってるかな?
マモル
-
なに?なに?
今日は地理か。
「日本のおもな工業地帯・地域」ねー。
パパの勤めている会社の工場は内房方面だから、この教科書の地図によると、「京葉工業地域」に入ってるはずだな。
ノリコ
-
京葉工業地域?
昔、習ったかしら?、私達の頃も。
習ったかどうかさえも、覚えてないわ。
(※昭和60年当時の参考書での記載を確認しています)
マモル
-
うん、確かに。
「四大工業地帯」と瀬戸内工業地域ぐらいは覚えているけどなー。
「京葉工業地域」は、ちょっとどうだったかな??
アイコ
-
えーっ!?、四大工業地帯??。
今は、「三大工業地帯」よ。
パパ、ママ、知らないの~~?
マモル
-
えーっ!?
ちょっと、教科書貸してごらん。
確かに、こんな風に書いてある。
かつて、日本の産業発展を支えた京浜、阪神、中京、北九州の四つの地域は、四大工業地帯と呼ばれていました。 北九州の工業の地位が低下した現在では、京浜、阪神、中京の三つの工業地域を指して、三大工業地帯と呼ぶようになっています。 (新しい社会 地理:東京書籍) |
ノリコ
- 歴史だけじゃなくって、地理でも変わってしまっているのね。
マモル
- 今では、三大工業地帯+六大工業地域、ねー。
アイコ
- パパ、何故、中京工業地帯の生産額がトップなの?
マモル
- それは、自動車だろう。
かつては、京浜、阪神、中京の順だったはずだけど。
アイコ
- じゃあ、北九州の工業が衰退した原因は何だったのかしら?
マモル
-
それはお前、あれだろう、何というか......
そーうだ、先生に聞いた方がいい。
パパなんかより、きっとわかりやすく説明してくれるよ
それが良い、それが良い。
(クワバラ、クワバラ)
<参考情報>
(平成20年工業統計表を元に、上記教科書に掲載されているデータより抜粋・引用) |
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登場人物の設定に関しては【こちら】
それで、いつから3大工業地帯と呼ばれるようになったんですか?
ご質問いただきありがとうございます。
回答が遅くなり申し訳ございます。
まず、この「いつ」についての対象ですが、以下の2つが考えられます。
1)北九州工業地帯の規模が4位でなくなったタイミング
2)四大工業地帯という教科書の表記が三大工業地帯となったタイミング
今回のお尋ねは2)ということで、探してみました。
手元の資料とか、図書館に行ったりと調べてみたのですが、「近年」という表現がほとんどで、具体的にいつ、という回答を見つけることが自力ではできませんでした。
そこで、中学校の卒業以来、35年ぶりに同窓会で会いました、担任の先生(社会科)に調査の協力をいただき、以下のような回答にたどり着きました。
まず、教科書会社によって、北九州工業地帯(地域)の扱いが異なっていました。
このページの内容は「東京書籍:新しい社会 地理(平成26当時使用)」のものを使用しています。
一方、地図帳や地理の教科書で大きなシェアを持っている「帝国書院」の中学用地理の教科書には現在も「北九州工業地帯」という表記が残っているようです。しかしながら、「四大工業地帯」という表記は行っていません。
この情報は、帝国書院のホームページのQ&Aコーナーで理由を含めて以下のように説明がされています。
以上のように、生産額の規模において北九州が四大という規模でないことは明らかながら、全ての教科書において「三大工業地帯」という記述ではありませんでした。
工業地帯間の順位もそうですが、その広がりも変わってきています。一例として、かつては愛知県の東三河地方(豊橋等)は東海工業地域に分類されていたのですが、最近ではどの教科書も中京工業地帯に分類しているようです。事典の記述も、1970年にできた日本国語大辞典と最近のウィキペディアとでは違ってきています。
精選版 日本国語大辞典の解説 = 豊橋を含める
とうかい‐こうぎょうちいき ‥コウゲフチヰキ【東海工業地域】
東海地方の静岡県沼津市から愛知県豊橋市にかけてひろがる工業地域。沼津・三島地区の製紙・機械工業、静岡・清水地区の機械・金属工業、浜松・豊橋地区の繊維・機械・楽器工業の三地区に大別される。
百科事典マイペディアの解説 = 豊橋を除外
東海工業地域【とうかいこうぎょうちいき】
静岡県の太平洋沿いに分布する工業地域。西側は中京工業地帯へと続く工業の盛んな一帯で太平洋ベルト地帯の一部。地域特性を活かした工業分布がみられ,浜松の楽器製造,駿河湾沿いの食品・水産加工業,富士山からもたらされる豊富な水資源を用いた製紙・パルプ工業などが顕著である。物流の大動脈が幾筋も貫く交通利便性も大きな魅力で,静岡空港も開港している。
ウィキペディアの解説 = 豊橋を除外
名古屋と東京の中間に位置する。主な工業都市に、浜松市、静岡市、富士市、富士宮市、焼津市、掛川市、磐田市などがある。また、東駿河湾地区は工業整備特別地域に指定されていた。
そして中京工業地帯の方は、
精選版 日本国語大辞典の解説 = 豊橋を除外
ちゅうきょう‐こうぎょうちたい チュウキャウコウゲフチタイ【中京工業地帯】
名古屋市を中心とした工業地帯。愛知・岐阜・三重の三県にまたがる日本の四大工業地帯の一つ。第二次世界大戦後、伝統的軽工業とともに重化学工業が急速に伸び、瀬戸・多治見・常滑の窯業、一宮・尾西・津島の毛織物工業、名古屋の重化学工業、刈谷・豊田の自動車工業、四日市の石油化学工業などが中心。
百科事典マイペディアの解説百科事典マイペディアの解説 = 豊橋を除外
中京工業地帯【ちゅうきょうこうぎょうちたい】
名古屋市を中心に,愛知,岐阜,三重3県にわたる工業地域。明治以後近代工業として発展した伝統的な窯業と繊維工業に特色があり,前者は東濃の瀬戸,多治見,四日市,常滑(とこなめ),碧南の各地区,後者は毛織物の尾西(びさい),一宮,津島,綿紡と化学繊維の岐阜,大垣,岡崎,綿織物の知多の各地区が主で,ともに全国第1位の生産高を示す。豊田,刈谷,各務原(かかみがはら),鈴鹿の自動車,名古屋の車両,ミシン,時計,電機,岡崎・安城の機械,化学,西尾の金属,碧南,半田の食品,小牧の機械,ゴムなどの工業が行われる。徐々に重化学工業の比重が高まり,東海の製鉄,四日市の石油化学コンビナートを中心とする伊勢湾岸の臨海工業地帯が造成された。名古屋,四日市両港は特定重要港湾であり,貿易も活発。
ウィキペディアの解説 = 豊橋を含める
愛知県名古屋市・知多市や三重県四日市市の伊勢湾湾岸部では石油化学コンビナートの集積が見られ、愛知県東海市には大規模な製鉄所などが立地する。 愛知県豊田市・刈谷市・安城市・豊橋市・大府市や三重県鈴鹿市では自動車工業が発達している。 愛知県一宮市や岐阜県岐阜市周辺では毛織物工業が、岐阜県大垣市では繊維工業がそれぞれ盛んである。 愛知県瀬戸市・常滑市や岐阜県多治見市・土岐市(陶磁器生産日本一)、三重県四日市市では、瀬戸焼・常滑焼・萬古焼などの伝統的な窯業が発達している。
最近では、全てまとめて中京工業地帯いうものまで現れ始めました。
日本大百科全書(ニッポニカ)の解説
中京工業地帯
ちゅうきょうこうぎょうちたい
名古屋市を中心に、愛知、岐阜、三重、静岡の4県にまたがる工業集積地域。東京を中心とする京浜工業地帯、大阪を中心とする阪神工業地帯とともにわが国三大工業地帯の一つである。4県のうち、静岡県は行政の管轄では関東通商産業局に属するが、電力・ガス等の公益事業については富士川以西は中部通商産業局の管轄下にある。一方、金融機関の日本政策投資銀行東海支店(名古屋)は静岡を含む東海4県を管轄範囲としている。このように、静岡県の東部が中京と京浜の中間的位置にあるが、4県の範囲が東海道に沿うところから、東海工業地帯ともよばれ、一体性が認められる。
製造品出荷額等は約67.4兆円(1995)で、全国323兆円の20.8%を占め、京浜の23.1%に次ぎ、第3位の阪神の14.3%よりも多い。1990年(平成2)までは阪神に次いで第3位であったが、以降は第2位を維持している。出荷額等の構成は、第1位輸送用機械器具33.4%、第2位電気機械器具12.3%、第3位一般機械器具9.9%、第4位食料品・飲料7.2%、第5位化学工業5.4%などで、自動車産業が主力の工業地帯である。[伊藤達雄]
こうしたことは、現実は時代とともに変わると言うこともありますが、細部に拘った知識問題で生徒を苦しめてもあまり意味はないのかなと、例えば、京浜工業地帯と京葉工業地域を無理に分けても仕方がないし、三大工業地帯でも四大工業地帯でも良いのではと、ふと思いました。
通りすがり様
横から失礼します!
貴殿の言う通りだと思います。
そもそも静岡県まで「中京」とは、どこまで馬鹿にしているのか、という噺です。
また弊職も、「京浜」と「京葉」を分ける意味は全く無いと思っております。
「工業地帯」のエリア分けは、全く意味の無い、恣意的な区分です。
工業地域の内、瀬戸内工業地域が13%程度を占めていますが、これは統計上の「マジック」です。
選挙で言うところの「ゲリマンダー」のようなもので、岡山県、広島県、山口県、香川県、愛媛県に跨る、東西350キロ、南北100キロにも及ぶ、本州西部、四国北部を覆う広大なエリアです。
本来はそれぞれ別のエリアに分けるべきであって、特に山口県は炭鉱及び石灰鉱山の繋がりで、同様の産業が盛んな福岡県の重工業(加えて製鉄所は大量の石炭や石灰石を原料として使用)と関りが深く、研究書によっては山口県の工業地域は北九州工業地帯に含まれる解釈も有ります。
また、大分臨海工業地域も中核は日本製鉄であり、これは北九州の八幡製鉄所と山口県の光製鉄所と一体的に運営されており、北九州工業地帯に大分工業地域も含めるべきです。
おそらく明石市以西の我が国領土の歴史や文化や経済に詳しい人なら、この「瀬戸内工業地域」の区分はインチキで、歴史的・産業的な繋がりで区分しなおせば、未だに「北九州工業地帯」は健在なはずです。いや、「健在」どころか、地震や台風被害も降雪被害も殆どなく、またアジア諸国に近く、しかも労働力が豊富というメリットを生かして、現在では福岡県は自動車やロボット産業が盛んになっております。
そもそも「瀬戸内」などという恣意的な区分が許されるなら、「京浜」と「京葉」こそ一緒にして、「東京湾工業地帯」と呼称するべきでしょう。あるいは「北関東」も併せて「関東工業地帯」にするべきです。
また、明石海峡以西、つまり大阪湾の外側など、歴史的な繋がりから見れば殆ど「阪神」のイメージは有りません。神戸製鋼加古川製鉄所などは日新製鋼呉製鉄所同様、寧ろ「瀬戸内工業地域」に入れるべきでしょう。